松下 奈緒さん (女優・作曲家・ピアニスト)

本日はこのような素敵な賞を頂きまして、本当に光栄です。

私が初めて手にした万年筆には、キャップの部分にピアノの鍵盤があしらわれた物でした。その時は高校生だったので、すごく大人なような気がして、なかなか手に取る勇気がなかったんですが、それから二十歳くらいになって、ようやく勇気を振り絞って、その万年筆で手紙を書きました。初めて書いたときの書き味や、1文字1文字大事に万年筆で文字を書くということが、こんなにも人の気持ちを考えながら書ける文房具なんだなということを感じたのを今でも覚えております。いくつになっても万年筆というものは、持つとドキドキしますし、書く相手の顔を思い浮かべながら書ける、そんな道具だと思いますので、これからも、もっともっと万年筆を使って、万年筆が日常的に似合うような、そんな素敵な女性になりたいなと心から思います。本当に本日はありがとうございました。