布袋 寅泰さん (ギタリスト)

僕は万年筆が昔から好きで、初めて万年筆を手にしたのは、確か小学校を卒業する時に両親から卒業祝いとしていただいたのを覚えています。
今まで使っていた鉛筆とはちょっと違う、消せない言葉を自分から作り出す道具。
そして僕にとっての道具とはギターであり、ギターは僕をエキサイトさせてくれる道具です。それに対して万年筆というのは、握ると本当に心が穏やかになるというか、消せないという意味でも言葉に嘘はつけない、そういう自分と向き合う道具だなという風に認識しております。
僕が毎年続けているのが今年8才になる娘に、彼女が大人になって寂しくなった時や苦しくなった時や困った時に父母がこんな風に彼女を見つめていたんだという思いを誕生日に万年筆でつらねて、引き出しの中にしまっているんですけど、いつか読むその時に我々も同じ気持ちで彼女のことを変わらぬ愛情を持って接していく。そんな思いを持って万年筆と付き合っています。
今日いただいた万年筆もギターと一緒で、使わない道具はなかなか馴染んでくれないものだったりします。いただいた万年筆も大切に今日から早速使わせていただいて、自分の万年筆にしたいと思います。
今日は光栄な賞をありがとうございました。